いざという時の納税資金対策は、どのようにした良いでしょう。
相続の発生と同時に現金で支払われる生命保険の保険金を、納税資金として利用するのも一つの方法です。
(1)身近で大きな問題、相続税の納税資金
相続税は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヵ月以内に金銭一括納付をすることが原則になっていますので、相続人は、相続した財産または相続人自身の財産で納税資金を捻出しなければなりません。
そこで、相続が発生するとすぐに現金で支払われる死亡保険金は、相続税の納税資金にうってつけです。
(2)A院長のケース
A院長は、50歳前半の若さで亡くなりました。財産は、自宅と定期預金5,000万円です。自宅の相続税評価額は、5億円とします。相続人は、奥さんと子供2人ですと、相続税額は6,850万円にもなります。納税資金は、定期預金5,000万円しかありません。不足額については、借金をして支払うとか、延納制度の適用をうけて、原則として年利3.66%(相続財産の状況や基準金利により異なります)の利子税を払いながら年賦で支払うことになります。
(3)B院長のケース
B院長の場合、A院長と異なり定期預金5,000万円はありませんが、生命保険1億2,000万円に加入していました。相続財産の評価額が、A院長に比べ5,500万円多いため、相続税額も7,950万円となります。しかし、納税資金は生命保険金の1億2,000万円で充当でき、かつ、4,050万円手許に残すことができました。
生命保険を納税資金として利用する
(妻1人子供2人の場合)
A 院 長 | B 院 長 | ||
相続発生時点の資産 | 自宅 | 5億円 | 5億円 |
預金 | 5,000万円 | ‐ | |
生命保険金 | ‐ | 12,000万円 | |
生命保険非課税 | ‐ | ▲1,500万円 | |
合計 | 55,000万円 | 60,500万円 | |
※相続税 | 6,850万円 | 7,950万円 | |
納税と収支 | 預 金 | 5,000万円 | ‐ |
受取生命保険金 | ‐ | 12,000万円 | |
相 続 税 | ▲6,850万円 | ▲7,950万円 | |
差引収支 | ▲1,850万円 | 4,050万円 |
※配偶者1/2軽減適用
このように、生命保険加入により、納税資金には、十分足りる金融資産を確保したことになります。
今後、いかに相続税を払うかが大問題となってきますが、簡単に現金化できる生命保険を最大限に利用するのもひとつの方法です。