5-4 世代交替のすすめ方

医業における世代交替について教えてください。

(1)世代交替は、医業の引き継ぎと医業財産の引き継ぎが必要です。
(2)医療法人の場合には、医療法人出資持分の移転も必要です。

(1)個人事業の場合の世代交替

個人事業の場合には、後継者の決定を前提として、事業主の交替と医業財産の承継により世代交替がなされます。
事業主の交替とは、具体的には所得税の申告上、後継者が主となり申告をする形態に、変更するということです。
医業財産の承継については、贈与、譲渡等により、後継者に移転する方法もありますが、税負担、資金調達等で困難である場合には、賃貸または共同利用の形態をとることになります。
この医業財産の承継については、その他の財産も含めた相続対策のなかで、進めることが重要です。

(2)医療法人の場合の世代交替

基金拠出型医療法人の場合には、医療法人の代表者である理事長の交替が世代交替となります。
持分の定めのある医療法人は、理事長の交替に加え出資持分の移転ができれば、実質的な世代交替ができることになります。
ただし、医療法人の出資持分についての評価額が、高額である場合には、移転が困難な場合もありますから、その場合には、医療法人の出資持分について、評価を引き下げる検討をしたうえで、移転対策を検討することになります。
理事長を退任後は、理事として医療法人にとどまることは可能ですので、あわせて検討されるとよいでしょう。

世代交替の方法によって違う相続税

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