5-2 タックスプランニング(1) 収入

開業から医業運営にいたるタックスプランニングを教えてください。

開業年数・収入・所得等の状況によりタックスプランニングを教えてください。

(1)開業から3年目までのタックスプラン

開業から3年目までは、個人事業での運営が一般的ですから、所得税の思典を十分に活用することがタックスプランのポイントです。開業年は、通常課税計算上は赤字になりますから、税金の心配はありませんが、初年度の赤字を翌年度に繰り越しできるか否かが重要となります。
この赤字の繰り越しについては、個人ですと、青色申告を選択すると、3年の繰り越しが認められます。
したがって、開業時から青色申告を選択しておくことが重要です。このことにより、初年度の赤字を3年間の所得で吸収できることになります。

(2)3年目以降の医療法人設立

開業後3年、または初年度の赤字を吸収した時点で、個人事業から医療法人への転換を検討するべきでしょう。
個人事業の場合には、所得税が累進課税であるため、課税所得が高くなると税率も高くなり、結果的に税負担が大きくなります。したがって、3年目以降で、個人所得が1,800万円を超えた場合には、医療法人設立の検討を進めるべきでしょう。
また医療所得には、社会保険診療収入に対して一定の経費率を乗じて求めた額を必要経費として計上できる課税の特例制度があります。この特例を利用できるのは平成25年までは社会保険診療収入が5,000万円以下、平成26年からは総収入が7,000万円以下の個人医院ですので、収入がどの程度になるのかも医療法人化を考える1つのポイントとなります。医療法人設立後は、理事長報酬と、医療法人利益のバランスを検討していくことが重要となります。
さらに、医療法人契約による、理事生命保険の加入や、理事退職金制度の整備を通じて、医療法人の制度上のメリットをいかしていくことになります。

開業からのタックスプランニングのモデル

05-02
※所得と税率の関係は4-3のグラフを参照して下さい。