3-15 遺言の活用

遺言の作成方法と注意点を教えてください。

遺言には一般的に二種類あり、遺留分を侵害しないように作成する必要があります。

(1)遺言の種類

遺言の種類には一般的に公正証書遺言と自筆証書遺言の二つの方式があります。
≪1≫公正証書遺言
国の公的機関である公証人に作成してもらい、原本を公証人役場に保管してもらう形式の遺言です。法律の専門家である公証人に作成してもらうので、安全で確実です。ただし、遺言内容を秘密にできない、費用がかかるといった欠点があります。
≪2≫自筆証書遺言
遺言者が、遺言書の全文・氏名を自署し、押印することにより成立する遺言です。遺言者が一人で作成できるため、簡便で遺言の内容だけでなく作成したこと自体も秘密にすることができます。反面、法定の要式を欠くと無効になってしまったり、偽造がされやすいといった短所があります。

(2)遺留分

遺留分とは、遺産について相続人に保障されている最低限の権利です。これは、下の表のような割合で決まっています。遺言作成時にはこの遺留分を考慮、する必要があります。
遺留分を侵害するような遺言を作成してしまいますと、侵害された相続人から遺留分減殺請求を起こされてしまい、遺言が思い通り実行されないことがあります。

相続人 配偶者のみ 配偶者と子供 配偶者と父母 配偶者と兄弟姉妹 父母のみ
配偶者 子供 配偶者 配偶者 兄弟姉妹
相続分 1/2 1/2 2/3 1/3 3/4 1/4
遺留分 1/2 1/4 1/4 1/3 1/6 1/2 1/3

(3)遺言により行うことができる事項

.相続分の指定又はその指定の委託(遺留分に注意)
.遺産分割の方法の指定または指定の委託
.遺産分割の禁止(相続開始後5年以内の期間)
.遺言執行者の指定または指定の委託
.認知 など