2-6 時価の影響

相続時間税制聞い生棚与した後にその財産が値上がり、または値下がりした場合にはどのようになりますか?教えてください。

下記のように、値上がりした場合には得をしますが、値下がりした場合には損をするケースもあります。従って、川今後はこの制度を活用するかどうかを充分に検討する必!要があります。

(1)生前贈与した財産が値上がりして得をしたケース

相続人子供2人で相続財産が5億円であることを前提にお話をすすめます。この場合、5億円に対する現状の相続税は1億3,800万円となります。この5億円のうち2億円部分を相続時精算課税制度により生前贈与する場合の贈与税は、3,500万円となります。この2億円の財産が将来1億円値上がりして3億円になっていたらどうなるのでしょうか?(この財産以外は価格変動がないものとします)。
もしこの財産を生前贈与していなければ、5億円の財産が6億円となりますので、その相続税は1億3,800万円ではなく、1億7,800万円を支払わなければなりませんでした。生前贈与してその値上がりした部分は子供に移転しますので、結果としてこの被相続人の相続財産は5億円に固定化されて、4,000万円の得をしたことになります。

(2)生前贈与した財産が値下がりして損をしたケース

この場合には、逆に生前贈与したことによりに損をすることになります。つまり、現状では5億円の相続財産に1億3,800万円の相続税がかかりますが、その何年か後には1億円値下がりしますので、相続財産は4億円となります。この場合の相続税は9,800万円でありますので、先に生前贈与いたしますと本来9,800万円でよかった相続税が、結果として1億3,800万円となり、4,000万円も多く相続税を支払うことになります。

(3)結論

従って、今後株式公開をするため値上がりが予定されている株式等のような成長財産はこの制度で早めに贈与するのが賢明ですが、値下がりが予想される財産は充分な検討が必要です。たとえば、値下がりが予想されても、毎年大きな賃貸収益を産むような高収益物件は早めに贈与しておいた方がいい場合もあります。

値上がり・値下がりで有利・不利となる例

く相続財産5億円,子供2人〉
1.相続時精算課税制度で生前贈与した財産が値上がりしたケース

(1)現状の相続税
5億円→1億3,800万円・・・(A)
(2)生前に2億円を贈与する
贈与税:(2億円‐2,500万円)×20%=3,500万円→相続税額から控除
(3)贈与財産が1億円値上がり3億円に!
(4)相続時の相続財産の評価額は?
3億円+2億円(贈与財産)=5億円
相続税:1憶3,800万円ム3500万円(生前贈与分)=1憶300万円
(5)納税額合計:(2)+(4)=1億3,800万円
(6)生前贈与しなかったら?相続財産の評価額=6億円
相続税:1億7,800万円・・・(B)
(7)(A)‐(B)=▲4,000万円 メリット

2.相続時精算課税制度で生前贈与した財産が値下がりしたケース
(1)現状の相続税
5億円→1億3,800万円・・・(A)
(2)生前に2億円を贈与する
贈与税:(2億円-2,500万円)×20%=3,500万円→相続税額から控除
(3)贈与財産が1億円値下がり1億円に!
(4)相続時の相続財産の評価額は?
3億円+2億円(贈与財産)=5億円
相続税:1億3,800万円 ▲3,500万円(生前贈与分)=1億300万円
(5)納税額合計:(2)+(4)=1憶3,800万円
(6)生前贈与しなかったら?
相続財産の評価額=4億円
相続税:9,800万円・・・(B)
(7)(A)‐(B)=▲4,000万円 デメリット