4-12 出資持分の移転

出資持分の移転について、その方法と留意点を教えてください。

(1)出資持分の移転については、だれに移転するか、どのように移転するかが重要です。
(2)持分の定めのある医療法人の出資持分を移転する場合には、移転の舗額算定が重要です。

(1)移転方法とその留意点

医療法人の出資持分については、配当が禁止されており、かつ議決権も一人一議決権の為、経営支配権によるメリットはありません。
ただし、医療法人の経営上の責任者である理事長については、原則として医師・歯科医師でなければなりません。つまり、医師・歯科医師である後継者が、医療法人の出資持分を負担なく所有できるように配慮することが、必要となります。
このようなことから、医療法人の出資持分の移転については、医業後継者が決定している場合には、その後継者を中心に移転をすることが重要です。

(2)移転価額とその留意点

出資持分の移転方法により、移転価額が決定されることになります。生前の移転となる、贈与と譲渡については、「相続税評価上の出資持分の評価」により移転することになります。ただし、贈与の場合には、金銭の移動がありませんが、贈与税の負担が生じます。贈与税は、出資持分の贈与を受けた人が支払うことになっていますので、贈与税の納税資金の準備についても、検討することが必要です。
譲渡による移転については、譲渡金額にかかわる金銭の移動が生じます。つまり、出資持分の取得者から譲渡者に、譲渡代金の支払がなされることになります。
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この場合には、譲渡者に対して譲渡所得税(所得税・住民税合わせて譲渡所得の20%)が課せられます。
したがって、譲渡の場合には、移転を受ける側は譲渡代金の準備、譲渡する側は譲渡所得税の支払が必要となります。