3-9 生命保険の活用(1) 生命保険の基礎知識

生命保険の受取保険金にかかる税金の種類について教えてください。

右の図のように契約の仕方によって受取保険金にかかる税金は3種類に分類されます。

(1)保険金を妻(または子供)が受取り、非課税枠を使って相続税を支払うケース

院長が自分に保険を掛け、自分で保険料を支払い、死亡保険金の受取人を妻または子供等の相続人にする場合です。院長が生存中に保険料を支払い、保険金は相続人が受取るため、死亡保険金にかかる税金は相続税の対象となります。相続税の対象となる死亡保険金の場合、一定の非課税金額が定められています。

非課税金額=法定相続人の数×500万円

たとえば、死亡保険金5,000万円で相続人が3人であれば、5,000万円-1,500万円3,500万円が相続税の対象となるわけです。したがって、相続人が受けとる死亡保険金にはたいへんメリットがあります。

(2)子供を保険金の受取人とし妻が保険料を支払い、贈与税を支払うケース

院長が被保険者となり、妻が保険契約者となり、死亡保険金の受取りを子供にする場合です。妻が保険料を支払い、子供が死亡保険金をもらうもので、言いかえれば、院長の死亡に備え、妻が子供のために加入するといえますから、この死亡保険金にかかる税金は贈与税の対象となります。
この場合の贈与税は、受取保険金から贈与税の基礎控除額110万円を差し引いた額が、全額課税の対象となり、かつ贈与税は税率が高いので、税金を多額に納めることになります。したがって、このような契約になっている場合は、死亡保険金の受取人を早急に妻に変更したほうが良いでしょう。妻が受取る死亡保険金は、(3)のケースで説明するように、妻の所得税の対象となり、贈与税より税負担は軽減されます。

生命保険金に対する税金のしくみ

(被保険者死亡の場合)

被保険者 保険料負担者 受取人 課税関係 相続対策上の
メリット
(1)院長 院長 妻(子) 妻(子)に相続税
(2)院長 子に贈与税 X
(3)院長 妻に所得税(一時所得)

課税判断のポイント
(1)誰が保険料を支払うか
(2)誰が保険金(解約金)をもらうかが課税判断の基準となります。契約者名義が誰であるかは課税判断には関係ありません。

(3)妻が保険金の受取人となり、一時所得として課税されるケース

院長が被保険者ですが、妻が保険料を支払い、かつ死亡保険金の受取人も妻にするケースです。院長が死亡することにより死亡保険金は妻に支払われますが、この保険金にかかる税金は所得税の対象となり、一時所得として課税されます。
一時所得としての受取保険金に対する計算方法は、次のようになります。

所得金額 (受取保険金一払込保険料-50万円)×1/2

すなわち、受け取った保険金から支払った保険料を差し引き、その利益金から50万円を控除し、その残額の2分の1が所得金額となります。
以上、3つのケスに分けて説明しました。私たちは日ごろ生命保険に加入する際に、あまり深く考えずに契約していますが、思わぬところに落とし穴があり、多額の税金を払うことにもなりかねません。念のため、現在契約している生命保険について、再検討してみてはいかがでしょうか。