6-2 不動産運用

不動産による運用益の取り扱いについて教えてください。

(1)不動産の賃貸による運用益は総合課税されます。
(2)不動産を賃貸することにより赤字が生じた場合には、他の所得との通算ができます。
(3)不動産の値上がりによる含み益については売却した場合に課税されます。

(1)不動産運用損益の取り扱い

個人の場合、不動産の賃貸による所得は不動産所得となり、本業所得とともに総合課税されることになります。したがって、本業所得が高額である場合には税負担が大きくなる場合があります。
また、不動産の賃貸による不動産所得が赤字の場合には、本業所得と通算して課税計算することにより、税額が圧縮される場合があります。ただし、不動産所得の赤字のうち、土地金利部分については、他の所得との通算が制限されますから、注意が必要です。
設例では、5年間の家賃収入2,500万円に対して、所得税等の節税額が、201万円、実収入が、1,527万円ということになります。
このように、所得税を圧縮しながら、賃貸不動産の運用ができます。

(2)不動産の売却損益の取扱い

個人が、賃貸用不動産を売却した場合の、売却益については、原則として他の所得と分離して税金が計算されます。
売却益については、その賃貸不動産の所有期間の長短により課税の方式が異なり、所有期間が5年を超えると、長期譲渡となり税額が軽減されています。

自己資金で賃貸アパートを建設した場合のタックスプラン

く前提条件〉
1.賃貸不動産購入価額:1億円(内土地価額4,000万円)
2.家賃収入:年500万円
3.資金調達:全額自己資金
4.建物の減価償却費 :本体(建物の80%/定額法22年償却)附属設備(建物の20%/定率法15年償却)
5.個人所得:3,000万円/年

(単位:万円)

初年度 2年目 3年目 4年目 5年目 5年間累計
<収入>
家賃収入 ①
500 500 500 500 500 2,500.0…A
<経費>
減価償却費
借入金利息
 
380.4
0
 
359.2
0
 
340.8
0
 
324.8
0
 
312.8
0
 
1,718.0
賃貸に係る
その他経費
454 180 180 180 180 1,174.0…C
経費計 ② 834.4 539.2 520.8 504.8 492.8 2,892.0
<所得>
不動産所得③
(①一②)
-334.4 39.2 -20.8 -4.8 7.2 -392
通算後所得
(3,000万円+③)
2,665.6 2,960.8 2.979.2 2,995.2 3,007.2 14,608.0
<税額>
当初所得(3,000万円)
の所得税
1,220.0 1,220.0 1,220.0 1,220.0 1,220.0 6,100.0
通算後所得の税額 1,053.2 1,200.8 1,210.0 1,218.0 1.224.0 5,906.0
節税額 166.8 19.2 10.0 2.0 -4.0 194.0…B

06-02