金融資産運用についての考え方を教えてください。
(1)個人の場合の金融資産運用は、税引後資金の運用となります。
(2)金融資産運用益について、医業所得と総合課税されるか否かが重要です。
(2)金融資産運用益について、医業所得と総合課税されるか否かが重要です。
(1)金融資産運用は税引後資金により行われる
定期預金、投資信託等の金融資産運用については、個人事業主の場合には、家事費、家計費を運用していることになりますから、その運用のための借入金金利は事業上の必要経費にはなりません。
すなわち、税引後の資金により、運用益を得ることになります。この点が本業に資金投下して利益を得ることとの遠いです。
たとえば、本業に資金投下して10%の利益をあげる事業と、金融資産運用により10%あげる運用益とがあったとします。同じ利回りであっても、本業への資金投下については借入金利が必要経費となり、全体の課税所得を圧縮しているのに対して、金融資産運用の場合には、必要経費にならない場合もあるということです。
(2)総合課税と源泉分離課税
運用益についても、大部分の金融資産運用益が、本業所得とは分離して課税計算されるしくみになっています。総合課税と源泉分離課税とを比較すると、源泉分離課税は、通常20%の税率となっていますが、総合課税の税率は、課税所得に応じて変わりますので、運用益以外の所得が多く、総合課税の税率が高い人にとっては源泉分離課税が有利となります。
つまり、表面利回りは低くても、源泉分離課税の金融商品であれば、運用者の所得規模によっては、有利に運用できます。
(3)配当課税
≪1≫源泉徴収のみで申告不要
≪2≫20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税
(H25.12までは、上場株式については10%(所得税7%、住民税3%)となります。)
≪3≫総合課税で配当控除の適用
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(4)金融資産に関するその他の課税関係
商品名 | 収入 | 所得区分 | 課税方法 | 申告 |
預貯金(国内口座) | 利子 | 利子所得 | 源泉分離課税 | 不要 |
預貯金(海外口座) | 利子 | 利子所得 | 総合課税 | 要 |
外貨預金 | 利子 | 利子所得 | 源泉分離課税 | 不要 |
為替差益 | 雑所得 | 為替予約有→源泉分離課税 | 不要 | |
為替差益 | 雑所得 | 為替予約無→総合課税 | 要 | |
MMF | 分配金 | 利子所得 | 源泉分離課税 | 不要 |
売却益 | 譲渡所得 | 非課税 | ‐ | |
利付債 | 利子 | 利子所得 | 源泉分離課税 | 不要 |
売却益 | 譲渡所得 | 非課税(平成27年12月31日まで) | ‐ | |
償還益 | 譲渡所得 | 申告分離課税(平成28年1月1日以降) | 要 | |
雑所得 | 総合課税(平成27年12月31日まで) | 要 | ||
譲渡所得 | 申告分離課税(平成28年1月1日以降) | 要 | ||
割引債 | 償還益 | 雑所得 | 18%の源泉徴収(発行時、平成27年12月31日まで) | 不要 |
譲渡益 | 譲渡所得 | 申告分離課税(平成28年1月1日以降) | 要 | |
譲渡所得 | 非課税(平成27年12月31日まで) | ‐ | ||
譲渡所得 | 申告分離課税(平成28年l月1日以降) | 要 | ||
金(地金) | 売却益 | 雑所得又は譲渡所得 | 総合課税 | 要 |
金(金貯蓄) | 売却益 | 譲渡所得 | 源泉分離課税 | 不要 |
金(純金積立) | 売却益 | 雑所得又は譲渡所得 | 総合課税 | 要 |
一時払養老保険 | 差益又は譲渡所得 | 一時所得 | 5年以下源泉分離 | 不要 |
5年超→総合課税 | 要 |
注1)源泉分離課税の税率は20%。内訳は国税15%、地方税5%。
注2)申告分離課税の税率は20%。内訳は国税15%、地方税5%。
注3)非課税所得については、損失の場合でも控除できません。
注4)地金・純金積立で雑所得となるのは、営利目的、継続的売買とされる場合、該当しない場合は譲渡所得。