2-2 相続時精算課税制度の具体例

「相続時間税制度」を利用した場合贈与をした時・相続が起こった時には、具体的にどのように税金は計算されますか。

(1)贈与の時点では、「相続時精算課税寄せ度Jを選択してその贈与財産から非課税枠の2500万円を差し引いて、非課税枠を超える部分に20%で課税されます。
(2)棉続時には、「相続発生時の相続財産」および「剥度選択後の贈与財産」を合算したもので相続税を計算し、ここから贈与時に支払った贈与税を控除します。

計算の概要は上記のようになりますが、より具体的に見てみましょう。現在院長が財産を1億円持ち、相続人は妻と後継者の子供の2人とします。

(1)「相続時精算課税制度」を利用した贈与時

平成25年に院長は、財産のうち1,500万円分を子供に贈与することとしました。このとき相続時精算課税制度を選択し、申告した場合、非課税枠の2,500万円のうち1,500万円を控除します。すると平成25年の課税対象額はO円となり、贈与税額も0円となります。
さらに、平成26年にも3,000万円分を贈与することとしました。相続時精算課税制度は、一度選択すると相続が発生するまで当事者間の贈与全てに適用されます。ですから、平成26年の贈与もこの制度の枠内で行われることとなります。したがって平成26年の贈与税の計算は、贈与額3,000万円から非課税枠の残額1,000万円を控除した、2,000万円に対して税率20%で課税され、贈与税額は400万円となります。

(2)相続発生時

平成26年から4年後、平成30年に院長が亡くなり、相続が発生しました。相続時において院長が所有していた相続財産は贈与後の残額5,500万円です。しかし、相続時精算課税制度を選択していますので、制度選択後の贈与財産も相続財産として合算されます。つまり相続税課税対象額は、生前贈与分の4,500万円と院長所有の相続財産5,500万円、あわせて1億円ということになります。もし子が相続する財産が生前贈与分をあわせて5,000万円であるとすると、相続税額は385万円になります。しかし、生前贈与にかかわる贈与税額がすでに支払われていますので、これを相続税額から控除します。
支払った贈与税額は400万円ですので、相続税額385万円から400万円を引くとマイナス15万円、つまり15万円が還付されることとなります(この還付金には還付加算金もつきます)。

【図相続税精算課税制度の適用例】

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